ギリシャ神話に登場するトロイヤの王女カサンドラは
アポロンの恋人になる代わりに予知能力を授かりますが
そのおかげで将来アポロンが
自分を捨てて去っていく未来がわかってしまったため
アポロンの愛を拒絶してしまいます。
これに憤慨したアポロンは
カサンドラの予言を誰も信じないようにという呪いをかけます。
カサンドラの予言は正しいのに誰も信じません。
社会や組織においてもカサンドラの予言のように
正しい警鐘が鳴ることがあっても
仲間外れになりたくないという感情や強い結束力のために
それを誰も信じない(ようなふりをする)ことが
往々にしてあります。
会社によっては、仕事の実績より人間関係が重視され
かりに仕事が出来てもコミュニケーションがとれないと
評価に結びつかないという事があるかもしれません。
人間関係や組織がうまく機能するためには
共感することも、助け合うことも大切ですが
いちいちお隣の都合を聞いていては
ストレスに押し潰されてしまいます。
感情の対立は憎しみに繋がることがほとんどなので
話し合いをする時には妥協点を見出していくなど
お互いにそれ相応の譲歩を前提とした互助の精神は必要です。
けれどどうしても妥協点が見つけられないときには
自分を信じ、自分の信念を貫くことも
時には必要なことかもしれません
人には人それぞれの正義があって
守るものも違うのですから…
周りがどんな価値観で生きていようと
自分の尺度を当てはめることは出来ず
自分は欠点・弱点を持った人間であるとするならば
「事実そうなので・・・」
相手もそのままでいいのだ
という思いに至ります。
自分自身の存在を他人との関係で肯定しようとすれば
自分に自信がなく自尊心もなければ
劣等感のかたまりとなり
相対的に相手をおとしめるしかなくなります。
他人と比べることは何の意味もないことです…
アイデンティティというのは
会社をクビになろうとどうなろうと
あれこれ失敗しようが
「自分は自分だ」と言い続けられる根拠
つまり「尊厳」のことだ
君がこれから大人になるときに
確実に直面するのが「尊厳」の問題だ
君は自分に「価値がある」と思えるだろうか
~宮台真司~
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